Connecting The Dots

クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

「モノ」から「コト」ではなく「ヒト」

土曜日にANAクラウンプラザホテル金沢で開催された「第1回 石川県の地域価値を創造する人材育成カンファレンス」に出席。クアルコムの会長さんの話はデジタル化、特にモバイルに関する技術について頭の整理をするのに役立ったが、パネルディスカッションは正直イマイチだったが、話を聞いていて思ったのは、地域活性化、特に観光業界を活性化させるには大きく二種類の顧客を意識する必要があるということだ。

一つ目はアジアだ。中国など新興国の人は数年で裕福になった人が多い事から、「モノ」に対するニーズがとても強いので、観光も「モノ」を主体にした広報活動が有効だ。

もう一つは国内の観光客だ。先進国の人は「モノ」に対する欲求は低い。また同じ「モノ」でも、どちらかというと無形の「モノ」に対するニーズの方が高い。ただし、感動、共感などの心に訴えるためのストーリーが必要。「モノ」から「コト(サービス)」へ、などと言われるが、「コト」を「ヒト」に置き換えたら理解しやすいが、「感動、共感など心に訴える」とは何だろう。
ストーリーには必ず時間軸が発生する。時間を感じることができるのは生物だけだ。大河ドラマの舞台となった地域では観光客が増加するというのは承知の事実。これはテレビ番組でその地域という「モノ」が紹介されたから観光客が増加したのではなく、その題材になった歴史上の人物の生き様(ストーリー)が視聴者に感銘を与えたからだ。
歴史を振り返ってみると、日本全国至る所に何らかの人を中心としたストーリーが存在するはずだ。ただし、決して武将である必要は無い。現存の人のストーリーでも良い。むしろ生きている方が、広告塔として活動させることも可能だから良いかも。また、日本でモノづくり職人はもっと人前で語るべきだ。アップルのスティーブ・ジョブズが人前でプレゼンをするように。語る場所もネットを上手く活用すればローコストで行える。
「新幹線というインフラができたから観光客が増えるだろう」。新幹線、輪島塗、九谷焼加賀友禅・・。どれもモノばかり、これじゃ駄目だ。もっと人物を中心としたストーリーを考えるべきだ。
新興国に向けてはモノをPR、国内や先進国に向けてはストーリーでPR。内需を回復させるためには、「ヒト」が主役のストーリが必要だ。また、ITなどの設備に対する投資をもっと「ヒト」に振り向けるべきだ。「ヒト」(人件費)はコストではなく、投資、財産なのだ。