Connecting The Dots

クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

アップルがセカイカメラを禁止―予告なく審査基準を変更するのは独占禁止法違反?消費者保護法違反? 下請法違反?

朝から、Twitterで「アップルがセカイカメラを禁止」とのニュースが飛び交った。皮肉にも、昨日、セカイカメラの開発元である頓智ドットがカイカメラのAPI「OpenAir for Publishers」の公開に合わせたイベント「Bootstrap 1.0」を開催したばかりだというのに。
ただし、誤解をしてはイケないのは「セカイカメラ」が締め出されたのではなく、「セカイカメラ」がクウジットの無線LAN位置測位技術「PlaceEngine」を使用したためにAppストアから姿を消したのだ。

セカイカメラは通常はGPSでユーザーを特定し付近にある対象物との距離を推測する。向きは電子コンパスを利用。ここで、GPS信号が得られない場合、セカイカメラが位置を特定するのにPlaceEngineを使っているようだ。具体的には、GPSではなく無線LANを使って近くのアクセスポイント経由でユーザーの位置を特定する。この何がイケないかのか様々な憶測を呼んでいる。頓智ドットではVer2.2で復活するとしているが、PlaceEngineの利用を全面的に取りやめることになるのかもしれない。

しかし、PlaceEngineの使用を禁止する理由が明らかになっていないため何とも言えないが、先日のアダルト基準の急な見直しなど、アップルの審査基準の急な変更に振り回されている感がある。アプリを受託開発しているような企業においては、こういった急な審査基準の変更によってビジネスにダメージを受けるケースも出てきそうだ。場合によっては訴訟にまで発展するケースも無いとはいい切れない。

セカイカメラを使ったイベントは各地で予定されていたようで、これらのイベントも影響を受けそうだ。

アップルのプラットホームをビジネスの基盤にしている企業も少なくない。こうなると、アップルの不透明かつ急なルール変更は、企業業績へも影響を与えかねない。現時点ではアップルのプラットホームが独占的な位置づけになっている点から独占禁止法に抵触する可能性や、有償で購入したソフトが突如使えなくなれば消費者保護法、業務委託契約は無いが、アプリを開発している企業がアップルに依存していることから下請法に抵触(かなり強引だが)何てことも考えられる。アップルのリーガルは全世界を視野に入れて対応をしていることから、ローカルでの対策というのは考えにくいが、今回の一件が、何らかの次の展開につながっているような気がする。