Connecting The Dots

クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

『Google TV』で、コンピューター業界がピンチに?は、ホンとか?

3月17日(米国時間)付の「The New York Times」の記事によると、Googleが携帯電話に続いて、今度はこのテレビを開発しているようだ。「そう簡単に行くものか!」と思う反面「またしても!」と思ってしまう。

ITという単語が出現する以前、これらの先端技術の業界はハイテクと言われていた。もちろん、それらの企業が多く集積している国と言えば日本。その代表格がソニーで、数々の新しい製品を生み出してきた。ウォークマントリニトロンのブラウン管、PLAYSTATION・・・など。ところが、最近スマッシュヒットしている製品が少ない。というよりも、製品のヒットチャートのボードが国内チャートからグローバルチャートに変わってきているからだ。ソニーが新規の製品開発を怠っているからではない。

どうやら、iPodの登場以降、潮目が変わったような気がする。携帯用音楽プレーヤーといえば、ウォークマンというブランディングが出来ていたにも関わらず、決して音質が良いとは言えないiPodウォークマンのシェアを奪いとってしまった。しかも、日本企業が販売戦略を考える際に必ず出てくる「囲い込み」をiTunesを使って実現してしまった。良く考えてみると、このビジネスモデルはドコモのiモードに良く似ている。日本企業が考えた製品とビジネスモデルを組み替えて成功した例だ。

そして、来月、アップルがiPadという新しいカテゴリの商品を発売する。量販店などが登録するカテゴリは恐らくノートPCとして扱うのだろう。しかしながら、これはキーボードが無いことからPCのようでPCでは無いのではなかろうか。iPhoneが既存の音楽流通を根底から変えたと言われるが、今回のiPadは書籍の流通を劇的に変えるのではと言われている。電子書籍と言えば、amazonKindleが有名だが、かつてソニーも電子ブックを発売していた。なぜソニーが成功することが出来なかったのに、amazonやアップルなら実現出来そうなんだろうか?それはiPodの成功が今回も再現されそうだからだ。
一部ではコンテンツホルダーとの調整が難航しているようだが、ユーザー、生活者の視点から考えると書籍の電子化は利便性が大きく改善されることから、とても望ましい。本棚のスペースが要らなくなる。
大抵、本は一度読んだら読み返すことは少ないが、電子化されればクリップや検索をすることで、いつでも情報として取り出せる。たくさんの本を持ち歩くことができる。書籍間の情報がリンクされる。通学に重たい教科書を持ち歩かなくても良くなる。紙の消費が削減され環境に優しい。印刷コストが不要になることから、本の価格が安くなる。本の一部だけを購入することができるようになる。読みたい時に直ぐに入手できる。
一方、デメリットもある。不正コピー、印刷業界や本屋の業績に影響が出る。本の貸し借りが出来なくなる可能性がある。電子ブックリーダを持ち歩かなくてはいけない。ユーザーから見るとメリットの方が多いようだが、業界構造が大きく変化する可能性があるので、そうは簡単にはいかなさそうだ。

そして、今回の「GoogleTV」。インテルATOMを搭載し、ブラウザを搭載してYoutubeが観れるなんて書いてあるが、そんなテレビは既に日本でもある。VoDなら日本製のテレビのアクトビラを使えば既に実現済み。また、Youtubeならば、WiiでもPS3でも観れる。でも、テレビでインターネットやYoutubeを観ている人はほとんど聞かない。2007年にはてなが開始したWii用の動画サービス「Rimo」は2008年にサービスを終了するなど、Wiiのコントローラを使ってさえも、テレビでネット動画というのは普及しなかった。これは日本固有の問題だという見方もできるが、Googleは別の何かを考えているに違いない。AppleはAppleTVという製品を発売しているが、ヒットしているとは言えない。非PC分野においてはGoogleはアップルの後を追いかける立場にあるが、テレビにおいては、テレビそのものを手がけていないアップルの先をGoogleは行くことになる。いずれにせよ、日本や韓国のメーカーが3Dに力を入れているのをよそに、Googleによってテレビ仕様がオープン化、グローバル化されそうな気がする。日本企業の事を思うとGoogleTVのが成功しないことを望むが、今の日本のテレビ仕様が独自ルールで規制され自由度が少ない点が緩和されるならば、GoogleTVの参入は歓迎される。