Connecting The Dots

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「TheサンデーNEXT」の王将の研修の是非

日経BPコンサルティングが先日発表した日本最大のブランド評価調査プロジェクト「ブランド・ジャパン2010」で前年の212位から38位と今回一番ブランド総合力が上昇したブランドと言えば餃子の王将である。その王将の新入社員研修の様子が日曜日の朝の番組 「TheサンデーNEXT」で放映された。
ネット上でも話題になっていたようで、2チャンネルやアルファルファモザイクなどで語られた模様。日曜の朝の番組ということからか、twitterでのツイートは500件程度とそれ程多くは無い。

番組の内容はと言うと、新入研修の密着取材だったのだが、スパルタ式の自己啓発セミナーのようで、ゆとり世代で育った人の眼には理解し難いシーンに映ったかもしれない。確かに、みんなの前で大声を出させたり、8秒以内で社訓を大声で読ませりするなど、体育会系の新人研修をやっている企業の話は最近では聞かなくなったが、果たして、この原始的な研修は時代遅れで意味を成さないのだろうか?

私は王将の研修は今の日本の社会を立ち直らせるためのヒントが隠されていると思う。先日取り上げた「モンスター社員」もそうだが、日本のダメ企業の多くは会社組織の規律が乱れていることが原因ではなかろうか。仕事の種類は、考える、決める、伝える、動くの4つに分類される。組織が大きくなると、伝えるという行為(パス)が複雑化し、コミュニケーションがスムーズに行われなくなる。eメールが存在しなかった時の組織での情報の伝達は上長と部下の上下と、同僚の間といった同レベルで水平の2種類しか無かった。つまり、組織上の上下関係が明確で基本的には組織の規律は守られていた。ところが、eメールが導入されボーダレスな考え方が浸透した結果、直属の上長を飛び越したり、斜めのコミュニケーションが簡単に行えるようになった。つまり、組織の規律が乱れ始め、部下からの信頼を損ね裸の王様になってしまっている管理職が増加し始めた。一旦、上下関係が乱れてしまうと、組織力が低下し、スタッフの行動は個人の好き嫌いや損得による優先順位付けがなされ、中長期的な企業活動が行われなくなる。そして、最終的には縦割り組織の形成を促し、全ての組織が自分の利益を守るようになってしまう。

このようなジレンマに陥った会社に共通している点は、社員の行動を見れば人目でわかる。例えば「挨拶ができない」。自分の会社はどうだろうか?「皆んなが挨拶しないから、自分もしないんだ・・・」何て言い訳をしてはいないか?自らが率先して働かきかけないと、周囲は変わらない。思春期の子供たちであれば、「挨拶なんてカッコ悪い」というのもわからなくも無いが、挨拶もしっかりできないようでは社会人としては失格だ。また、これは個人の素養の問題にとどまらず、組織力の低下を表している。組織力の低下はすなわち、上長の権威が損なわれていることを意味する。「大多数の上司は無能である―ピーターの法則」でも説明されているように、「人は能力の限界まで出世し、無能レベルに達すると出世が止まるため、大多数の上司は無能な上司なのである」。したがって、上長は部下に対する権威を損なってしまっては、その存在価値は無いに等しい。そのためには、部下の仕事内容よりも、仕事に対する姿勢などの基本姿勢や規律については、部下を場合によっては厳しく指導して行く必要があるのではなかろうか。

そのためには、配属後のOJTで配属先の上長にばらつきのある指導を委ねるよりも、新人研修の際に、同一の基準で一度に指導をする方が、効率的かつ新人も受け入れやすいはずだ。また、弱い上長が増えた原因は、晩婚化と少子化が原因かもしれない。部下の教育は子供教育と共通する部分が多い。時に新入社員は専門職を除いては入社直後の時点では使い物にはならない。したがって、育て方次第にどうにでもなる。しかし、「三つ子の魂百まで」では無いが、入社3年目までに、しっかりとしつけをしないと、「不良社員」になり、最終的には「モンスター社員」へと進化してしまう。また、そんな社員が上長になり新人を間違って教育する。そんな繰り返しが企業の組織力の低下を促す。そういった意味からも新人研修というのは重要だといえる。

確かに王将の例は極端な例かもかもしれない。しかしながら、好調な王将の業績を続けるために必要な新人研修を考えた結果なのだろう。また、熱血常務さんが新人の事を自分の息子や娘のように抱きしめる様子からは、王将流の感動マネージメントを感じることができる。多様性の時代については否定はしないが、組織力の強化が企業力の強化につながり、そして国力の向上につながるのは明確だ。

ブランド・ジャパン2010」
大多数の上司は無能である―ピーターの法則
TOPSY(twitterで”王将 新人研修”に関するツイート)