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クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

「1億総中流」の終焉?

日経ビジネスオンラインの「中流マーケティングを捨てよ!」という記事が感慨深い。1960年、池田内閣の下で策定された長期経済計画である「所得倍増計画」に始まり、1970年の国勢調査で日本の人口が1億人を突破した後あたりに出現してきたと推測されるが、出現時期不明の「1億総中流」という国民意識が崩れてきている。とはいうものの、格差社会の到来かというと、実際はそうではなさそうだ。

三浦展氏の「下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)」という本が話題になり、30歳での収入が400万円に達しない場合は下流というセグメントに分類され、上流や中流社会の人との接触機会が減り、いわゆる負け組に入るというものだ。

リーマンショックを発端に再燃し、最近の円高によって加速しているデフレの影響で、所得の減少によっていわるる下流層の人口の増加した結果、彼らをターゲットとして無視できなくなってきている。勝ち組企業の多くが、こうした下流層を意識した商品やサービスを提供している。

高所得の先進国と所得の少ない新興国では、熱伝導と同様に資本は高いとことから低いところへと向かうのが普通だ。しかし、その新興国の市場があまりにも巨大であるがために、そのバランスが崩れてきているのだ。だとすると、新興国の所得が上昇し先進国との差異が縮まるか、先進国の所得水準が低下するしか無い。もちろん、購買力平価で国際的な所得比較をする必要がある。しかしながら、最近の円高は国際的に比較した場合、日本の所得を嵩上げしてしまうので、所得の低下を招き兼ねず、望ましくはない。したがって、早急な対策が必要だ。

モチベーションはお金では無いとされるが、やはりお金に不安がある状態は健全ではない。一日も早く政府の対応が望まれるところだ。