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クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

ワールドカップの目標にベスト4にこだわった理由 -サッカー日本代表前監督の岡田武史さんのセミナー

昨日(17日)3年ぶりに岡田武史さんが三谷情報フェアにやってきた。前回の様子はここ。
南アフリカでのワールドカップでの活躍が記憶に新しいことから、定員の200席は即SOLD OUT。今回の講演の要旨を簡単にまとめてみた。なお、内容の多くはカンブリア宮殿(10月14日放映)の内容と被っていた。

■『ゾーンに入る』
プロの運動選手が、潜在的にもっている自身のパワーを最大に発揮する事を『ゾーンに入る』と言うが、入ろうと思って入れるわけでは無い。タイガーウッズのように自らの意思でゾーンに入れる人は極まれで、多くは偶然にしか訪れない。岡田監督は選手時代に一度だけ体験したことがあるそうだ。苦手な左足でミドルシュートを決めた瞬間。気がついたら、ボールがゴールに突き刺さっていたのが見えたが何も覚えていないそうだ。

プロの運動選手の誰もがこのゾーンに入りたい、どうしたら入れるかと日々努力している
わけだが、雑念という名のノイズが消えない限りはゾーンに入る事はできない。

しかし、代表チームはカメルーン戦でゾーンに入ることができたようだ。試合後に何も言わなくても良い空気を感じた。まさにユング集合的無意識を感じた瞬間だったそうだ。これ以降1ヶ月間、選手は誰一人として病気や怪我をする人はいなかったそうだ。

■『ベスト4』
パラグアイに勝てたら目標に掲げたベスト4に入れた。試合前に選手に「全ての力を出し切れば勝てる」と語ったそうだが、結果は引き分け。なぜベスト4に入れなかったかを考えてみた結果、自分の勝利に対する執着心が足りなかったんだと気付いた。

ワールドカップを終え関西空港に帰国した際に集まったサポーターの数は4300人。ヨン様を超えたそうだ。ちなみに、羽田から出発した際はわずか23人だったそうだ。帰国した際に感じたのは若い人たちの輝いた眼と笑顔。「俺は代表監督をやって良かった」と感じたそうだ。

中村俊介も楢崎も今回のワールドカップに賭けていた。しかし、岡田監督はあえてレギュラーからは外した。しかし、その後の彼らの行動は素晴らしかった。その悔しさをおくびにも出さず、チームのために一生懸命やってくれた。その姿を見た若い選手はサボレルはずはなく、試合に出る選手はいい加減なことなんてできない。また、二人の仲の良い中澤をキャプテンから外したが、同様にモチベーションが下がった様子は無かった。

選手だけじゃなくてスタッフ全員がベスト4を目標とし、それに向けた行動を取っていた。同行していたコックが本を出版するそうだが、そのライターも驚いていた。選手一人一人の日々の様子を見ながらメニューを変えていたそうだ。まさに加賀屋風。「ドリームキラーに負けるな!」パート社員までもが目標やビジョンを理解しているという京セラを彷彿させる。

■『代表チームのフィロソフィー(哲学)』

  1. Enjoy 自分の責任でリスクを冒す。そして楽しめ
  2. Our Team このチームは誰のチームでもない。俺のチームでもない。お前ら1人1人のチームなんだ
  3. do your best チームが勝つためにベストを尽くせ
  4. concentration 今できることに集中しろ
  5. improve 今を守ろうとするな。常にチャレンジしてもらいたい
  6. communication お互いを知る

■『エデュケーションはラテン語でエデュカトーレ(引き出す)』
いかに先週の潜在的能力を気付かせ、引き出すかが重要。試合のビデオでは基本的に良いシーンしか見せない。また、ドリブルなどをさりげなく入れ、ひとり言のように褒めることで、決められた指示通りでは無く、自からがそのシチュエーションに応じ瞬時に判断できるようにする。

■『人間万事塞翁が馬
岡田監督の座右の銘。幸福や不幸は予想のしようのない事の例え。無駄な行動や考えは止めて、目標に向けて努力すれば、秘密のカギは見つかる。勝負の神様は小さな出来事。

岡田監督の話はマネジメントに通じる点が多く、参考になる。勝てれば何でも良い。儲かれば何でも良い。というのではなく、選手一人ひとりが、ゲームを考え、楽しんだ結果、勝つというのが、きっと岡田監督の理想なのだろう。三度目の正直という言葉もあることから、また、代表監督を引き受ける事になるかも。

誠「岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは 」
岡田武史著の蹴球日記買っちゃった。もちろん、サイン入り。