どう伝わったら、買いたくなるか (藤田康人)
インテグレートのCEOをされている藤田康人さんが書かれた書籍。ブランドサミットでいただいたので早速読んだので書評を。
藤田さんはキシリトールを流行させた立役者。実体験を元に、情報過多でマス広告が効きにくい時代における統合型マーケティング(IMC)の重要性を語っている。
■"伝える"と"伝わる"は同じではない
我々を取り巻く情報の量は、10年前に比べ500倍以上に急増。情報の大半は「スルー」されている。こんな状況下で消費者にどのようにアプローチすれば良いのか?また、コミュニケーションは?消費者の心の琴線に触れて、思わずバリアーを解いてしまう「スイッチ」はどこにあるのだろう?
■4つのインサイトと情報クリエイティブ
- 消費者インサイト(企業側が何を言いたいか=>消費者が何を聞きたいか)
- メディアインサイト(メディアがおのずと報道したくなる情報は何か)
- ソーシャルインサイト(客観情報を、専門家や有識者によるエビデンスを含めて発信する。特に「誰が伝えるか」が重要)
- 流通インサイト(棚の確保をするために、流通サイドにもヒアリング、プレゼンを行い)
これら、4つのインサイトから情報クリエイティブを作っていく。
■伝える≠届く・伝わる≠動かす
テレビがお茶の間の主役だた時代は、メディアが自分たちに都合の良い情報をセレクトして流すことができたが、インターネットが普及した今日においては、消費者はメディアと同等の量と質の情報を得ることができる。したがって、容易に消費者に対し消費行動を与えることはできない。したがって、受け手主体の新しいアプローチに発想を転換することが必要だ。「自分ごと化」+トクする情報がキー。
女性の便秘解消ニーズは高い⇒>食物繊維は売れるはずなのに売れない。⇒デトックスでブレイク。
■3つのメディアをうまく融合させよ。
- 買うメディア(バナー広告など)
- 得るメディア(ソーシャルメディア)
- 所有するメディア(自社サイトなど)
誤解をしてはいけないのはソーシャルメディは、短期的な効果を期待するよりも、中長期的に共感をベースに顧客との強い絆の構築を目指すべき。
本書では上記の新しいマーケティング概念を、様々な事例を用いて、とてもわかりやすく解説している。ソーシャルの哲学については様々な書籍があるが、「概念よりも実践を」と考えている人にオススメの一冊。