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Connecting The Dots

日頃の気付きを綴っていきます

プロボノは地域社会の情緒価値を守る新たな「知恵」と「労働」の担い手

プロボノとはお金を寄付するのではなく、自分の専門的スキルと時間を提供する新しいボランティアの仕組みで、震災後に特に注目され始めている。

企業に努めている人が震災の被災地にボランティア活動に行くことで、自分が社会の一員である事を確認、すなわち、社会とのつながりの重要性を感じた人が多いそうだ。働くことの意義や動機付けに必要なものは給与や名誉だけではなく、生きがいが、自身の成長、職場に戻ってからの働き方に好影響を与えている。

また、企業収益の悪化や個人の可処分所得の減少による税収の落ち込みから、地方自治体による非営利的な活動や事業に対する金銭による助成や支援も減少傾向。これらの事業を全て採算性という観点のみで事業仕分けされてしまうと、伝統や文化に関わるような情緒価値が損なわれてしまう。そこで、これらを保護するための担い手としてプロボノが注目されている。

被災地へのボランティア活動の多くは、週末や有給休暇を取得するなど個人的な活動が一般的だが、一部の企業においてはボランティア活動が社員の成長につながるとして、支援する動きも出ている。例えば、交通費や旅費、場合によっては活動中の給与を会社が負担するなどは、ボランティア活動の一部から全部を業務として認めるところもでてきた。ただし、それはまだごく一部の企業に留まっているのが現状だ。

会社員が仕事とボランティアを両立するには、週末をボランティアに当てるというのが現実的だ。しかし、毎週末にボランティア活動をしていると、体が休まる暇も無く、逆に本業に影響が出る事がある。ボランティア活動をしている人には前向きな人が多いが、業績が振るわない企業に共通し蔓延しているネガティブな雰囲気とのギャップという寒暖の差にストレスを感じるケースも多い。

つまり、プロボノを普及させるためには企業がボランティア活動の重要性を理解し、社員の活動を認めるだけではなく支援することが求められている。ボランティア活動家といえば、NPOに携わっている人や、個人で事業を営んでいる人、子供の親などが連想されるが、どうやって会社員をボランティア活動に巻き込んでいくか(参加させるか)がプロボノ普及のための重要課題だ。大企業になればなるほど商圏は首都圏などの大都市の比重が高まり、地元など地域社会とのつながりが縁遠くなる。そして消費者との距離の拡大が売れない商品やサービスへとつながる。企業の地域社会との関係の希薄化が業績低迷の原因であり、居住者と地域社会の関係の希薄化が地方の衰退の原因なのではなかろうか。

プロボノを普及させるための手段として次のようなものが考えられる。

対企業では、啓蒙活動と企業が活動を支援できるような制度づくり。対個人では、行政が指定するボランティア活動に参加すると住民税が控除される、あるいは、地域通貨が与えられるなどのボランティア活動を一般化させるための仕組みづくりなど。

また、プロボノ=無償というわけではなく、有償のボランティアも存在する。つまり、プロボノ活動を支援する団体が配当を確保できる仕組みができれば、その活動自体を投資対象としたファンド、すなわち、地域を循環する新たな金融として成立させることも可能だ。iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中教授がマラソンで基金集めをする際に使った、オンラインを使ったプラットフォーム「JustGiving」といったファンドレイジングも有効だ。

今では、弁護士の社会貢献活動の一つして始まったプロボノが、今ではWebのデザイナーなど様々な分野まで専門家の裾野が広がっている。

弁護士と接する機会がほとんどない一般市民にUX(ユーザー体験)してもらう、つまり弁護士体験(?)がプロボノをはじめるきっかけだったのかもしれないが、今はプロボノの代表として社会貢献活動に多いに貢献している。

プロボノは地域社会の情緒価値を守る新たな「知恵」と「労働」の担い手として、今後最も注目される活動および仕組みだ。