Connecting The Dots

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日経新聞が電子版を創刊

海外でのKindle人気に加え来月iPadが発売されることから、電子ブックに対する期待は大きい。しかしながら、音楽同様に書籍や新聞がデジタル化されると存在が危ぶまれる業種や企業が多く存在する事から、そう簡単にはいかない。
そんな中、日本経済新聞社は3月23日から新聞紙面をそのままPCや携帯電話で見られる「日本経済新聞 電子版」(Web版)を創刊すると発表した。気になる利用料金は新聞購読者の場合で月額1000円。電子版のみの場合は同4000円。朝夕刊セットが4,383円。夕刊非配達地域の全日版(朝刊のみ)の料金は月がる3,568円、朝夕刊セットから見れば若干の値下げ。また、全日版から見ると若干の値上げとなる。日経新聞社が「紙の新聞の部数に影響を与えないことを前提に考えた」と言っているところを見ると、新聞販売店を配慮した価格だと言える。
毎日配達される新聞をデジタル化するというのは経済合理性の観点からは望ましい話だ。しかし、全国に組織化された新聞販売店が存続が危ぶまれることから、雇用の観点からもそう簡単にはデジタル化はできない。とはいっても、既に新聞の販売数は年々縮小傾向で、新聞を購読していない家庭も多い。そんな中新聞販売店は、新聞販売による収益減少を折り込みチラシで補うという収益モデルへとシフトしてきている。つまり、新聞そのものの価値よりも毎日配達されるというデリバリーサービス業に変化しつつある。販売店によっては新聞、折り込みチラシによる広告収入だけではく、様々なサービスと融合し展開しているところもあるようだが、新聞のデジタル化は、地方の販売店の経営には大きな影響を与えることから、販売店の統廃合、あるいは、業態の変更が急務だ。
しかし、ローカル新聞のシェアが高い地方において、全国紙は厳しい。ローカル新聞は都道府県や市町村の情報からお悔やみ欄など、地元の生活に密着した情報で構成されているだけでなく、折り込みチラシも多い事から、とりあえずは、テレビやネットで代替される可能性は低い。だが、全国紙はそうはいかない。今回の日経新聞社の発表はそんな時代の変化を始まりを示しているのではなかろうか。

日経新聞には基本的には折り込みチラシは殆ど無い。販売店が他の新聞の販売と兼ねている場合、お願いすれば折り込みチラシを入れてくれる場合があるが少ない。つまり、日経新聞の販売店は新聞の販売による収益が収入の源泉であり新聞の販売数の減少はもろに経営に影響を与えるということだ。一方で地方においては日経新聞の販売店は少ないので、統廃合は比較的し易いのではなかろうか。これらの事を考えると最初に電子版の新聞を発行するのが日経新聞だというのも理解できる。他の新聞では販売店へ与える影響が大きいためだ。

とはいうものの、販売店保護を念頭においた価格設定では電子版への移行は急速進むとは考えにくい。恐らく日経新聞社としては販売店の統廃合を進捗を見極めながら価格を下げて行くのではなかろうか。デジタル化にすることでビジネスモデルの幅は広がる。例えば、流行のフリーミアムの手法はコストを掛けずに導入可能だ。マネーセミナーの参加者は1週間電子版購読無料。また、ゴルフ場やクレジットカード会社、就活サイトとのアフィリエイトなど。また、電子版2年間購読契約者には1円でiPadで販売するという1円モデルはヒットしそうだ。

デジタル化によって新聞やラジオは無くなると言われるが、いずれも決して無くなりはしないと思う。特に新聞に関しては、先に述べた理由からローカル新聞は代替メディアというかサービスが登場しない限り無くなりはしない。また、全国紙は無くしてはいけない。なぜならばデジタル化、特にネットから得るプル型の情報メディアは取得する情報が自分の好きなモノに偏ってしまうからだ。これを「情報虫歯」と言う。情報虫歯の蔓延は企業の応用力の低下を招き、将来の経営者の減少につながる。

したがって、新聞など紙のデジタル化は時代の趨勢であることは明らかだが、iPad版でも良いのでデジタル化されたとしても新聞は残すべきだ。デジタル化の時代だからこそ、また、日本の経済発展の為にも。