Connecting The Dots

クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

電子書籍は本じゃない?!

11月3日の文化の日に、金沢市の中心街の柿木畠で「ブックECO金沢 街中フェスティバル」が開催され、そのイベントの一つとして、百万石ワールドカフェを開催した。今回はいつもと異なり、祝日の昼間ということもあり、なかなか人が集まらず心配したが、最終的に23名の人が参加してくれた。(いつもよりは少ないけど)

今回のファシリテーターは"大ちゃん"と"せいちゃん"のペア。二人のイニシャルを取って(やっぱ)「DSG(大ちゃん、せいちゃん、グループ)」。最初の自己紹介では空気が馴染んでいなかったので滑ったかな?自己紹介でネタをやるんだったら、アイスブレイクの後の方が良いのかも?

今回のグランドテーマは「本」について。
1つめの問い(ダイアログ)は「あなたにとっての“本”とは?」本の定義についての問い。本の種類や、感動した本、本の読み方、本にまつわる思い出など、本について対話を楽しんだ。


2つ目の問いは「電子書籍って“本”なの?!」iPadの登場によって一気に電子書籍が注目されるようになった。日本では再販制度など商慣習が残っているなど、今日現在Apple社のiBookストアは日本ではオープンされていないが、電子書籍に関する協業のニュースは毎日のように聞かれることから、少なからず本の電子化は進みそうだ。経済合理性の観点からも、本は電子化されるべきだし、読むだけの本から聞く本、香る本、感じる本など、デジタル化によって本は五感で読むものに変わると思う。また、本が電子化されると、手軽に友達などに貸すことができないが、amazonがKINDLEで本の貸し借りができるようにすると発表したことから、電子書籍に出来ないことはほぼ無くなってきた。また、本は静かな場所で集中して読むものだと考えがちだが、雑誌などはテレビを見ながらでも読むことはできる。電子書籍はそんな「ながら読書」を促進するかもしれない。電子化された本を、自分な好きなアナウンサーやアイドルの声で読んでもらうなど、新しい楽しみ方ができるかもしれない。

一方で、今回参加していただいた、金沢美大の鈴木先生の「電子書籍」に対する見方がとてもユニークで、今回のワールドカフェで最大の収穫だった。

本は開くだけで、その歴史を感じることができる。例えば、色あせた紙の色や、使用している文字の書体(フォント)、行の間隔、イラスト、出版社の住所、カバーのデザインや、キャッチコピーなど、全てからその本が書かれた時の時代を感じることができるし、年月が立てば経つほど変化していく。ところが、電子書籍は時代の変化と共に劣化するどころか、進化していくのでその時代の「味付け」は全てカットされてしまう。西欧では本を読むというのは「ストーリー」を楽しむだけではなく、「作者」に近づくことだそうだ。つまり、「本」そのものが芸術作品であり、カバーた帯まで全てが作品を構成するパーツ等だそうだ。芸術作品としての本は、これらを再現できない電子書籍には完全に移行することはできないといのが鈴木先生のお考え。それを聞いた皆んなは、「なるほど〜」と感動もひとしお。

最後の問いは「2015年の“本”の姿って?」。前原口総務大臣が「2015年に教科書の電子化を実現する」と発言していたが、実際はどうなんだろうか?紙の教科書でできることは、電子教科書でも、ほとんどの事が実現可能だ。電子化によって失われるもの、電子化によって生まれるもの、様々あるが、やはり電子化の流れは止められない。しかし、作品としての本は無くならない、というか無くしてはならない。共存する形で本は発展していくことだろう。インターネットの登場によって一日の読む活字の数は間違いなく増加しているはず。書籍も電子化によって読む量は増えるのではなかろうか。一方で、出版の敷居が低くなることから、作家も増えるのではないか。つまり、質の問題もあるが、(全ての意味において)本が自由化されることで、新しい本の楽しみ方が増え、読書をする人が増えることを期待したいと思う。先人の知恵に学ぶには本を読むのが一番。テレビよりもマンガよりも「読書」が習慣として生活に組み込まれていくようになると良いな。

ワールドカフェの後は、山嶋先生の隠れ屋で「闇鍋パーティ」。近くに「熱血レ恋愛塾 短期集中講座」の看板を付けた自転車を発見!しかも、かごの中にボクシンググローブが!一体どんな講座なんだ?!

ということで、いろんな鍋料理を美味しいお酒とともにいただいた。ブレーカーが落ちるなどの、演出(?)もあり、とっても楽しいパーティだった。
また近いうちにやりたいね。



ということで、ワールドカフェは楽しい!