Connecting The Dots

クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

町村信孝氏の講演会と、竹中平蔵氏の講演会

1週間の間に2人の政治家の講演会を聞く機会があった。(正確には一人は元政治家)一人は、元通産官僚。自民党衆議院議員文部大臣科学技術庁長官、文部科学大臣外務大臣内閣官房長官を歴任した町村信孝氏。そして、もう一人は、実業家、経済学者。慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長、株式会社パソナグループ取締役会長、元参議院議員、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣などを歴任した竹中平蔵氏。

町村氏は、流暢かつ、とても優しく丁寧な話し方をされるので、誰でも理解しやすい。一方、竹中氏は、幾つかのキーワードを使って話をされるので経済に関心のない人には少し難しいかもしれない。

二人とも今の菅政権を皮肉った話をされたが、全く同じネタが一つあった。それは小泉元首首が首相就任直後の2001年5月の夏場所にて、総理大臣杯の授与を自ら行い、前日の負傷を押して出場し22回目の幕内優勝を勝ち取った横綱貴乃花光司に対して「痛みに耐えてよく頑張った! 感動したっ! おめでとう!」との賛辞を送ったが、永田町では今の内閣の事を「菅どうした??」と皮肉った言い方が流行しているそうだ。

町村氏、竹中氏、ともに震災や原発の話題にも触れたが、町村氏の話の大半は、民主党や菅政権の批判ばかり。最初は流暢な話し方から時折見せるユーモラスな話題として楽しく感じたが、批判的な話ばかりが続くと正直うんざり。この町村氏の話からは政権が民主党から自民党に移っても何ら変わらないような感じを受けた。

一方、竹中氏の講演でのポイントは次のとおり。
日本はまだ捨てたもんじゃない

  • 震災から3分後に三陸沖全ての市町村に津波警報を発令した。スマトラ沖地震では22万人無くなった。
  • 震災直後に都市ガスのマイコンメーターが瞬時にガスの供給をストップしたため火災がほとんど発生しなかった
  • 震災直後に新幹線が緊急停止したので一両も脱線しなかった
  • 地震の揺れで崩壊した建物は少なかった
  • 震災で日米の海底ケーブルの半分が切断されたが、インターネットは切れなかった。インターネットは震災にも強いことが確認された

今がチャンス

  • フロムスクラッチ。被災地で新しいまちづくりを試すことができる。例えば、大規模農場を作る。エコタウンを作るなど
  • 復興特需が年後半に始まる。推定17兆円。GDPの3.4%。しかし、特需は一時的なものでいずれは無くなる。

復興費用は増税で?

  • 復興費用は一時的なもの。したがって、原理原則に則って増税すべきではない。例えば、郵政の株を売却すれば10兆円程度にはなるはず。国債整理基金の中の12兆円を使えば良い。建設国債を発行すれば良い。12兆円を60年に返済すれば年間2千億円。これなら返済可能な範囲。

円高はしばらく続く?

  • 円高ではなく、米国、欧州の景気に力強さが無いから。ソブリンリスクも。財政拡大したが、日銀が金融緩和を拡大しないのて、金利が上昇。したがって海外から円建資産へ資金の流入に円高になる。

復興に求められているのは後藤新平のようなリーダーシップ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110328/plc11032823000022-n1.htm

竹中氏は日本経済を今回の震災をバネに、フロムスクラッチで浮上させるためのプランを早急に考え、強いリーダシップの元、実行することが重要だと提言し、講演をまとめた。

これは日本政府への提言だけではなく、デフレやグローバル経済で収益力が低下している多くの企業も真摯に受け止めるべきな内容だといえる。小手先の改良やカイゼンでなく思い切った方向転換。部分的でも良いのでフロムスクラッチが重要だと感じた。