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クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

IPDL(電子図書館)の使いづらさが知財立国への障壁

新しい商品やサービスを発明し、それが特許にできないかを調べる際に、電子図書館(IPDL)という特許庁のサイトを利用するのが一般的だ。ところが、このサイトが極めて使い辛い。これでも良くなったらしいのだが、これじゃ7〜8年前のWebサイトみたいで、とにかく、登録されているデータベースの仕組みや癖を理解してないと、目的の情報に辿りつくことができない。

電子図書館(IPDL) http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl

通常は、「特許・実用新案検索」から入るのだが、まず、この先のページではどれをクリックして良いか迷ってしまう。専門用語(?)が多過ぎ。インターネットを普段から使っている人なら、googleなどのテキスト検索に慣れているはずなので、3番の「公開テキスト検索」を選ぶだろう。しかし、その先も選択肢や入力の仕方に悩んでしまう。意味がわからない専門的な単語が多いだけじゃなく、論理式「OR」「AND」を使って検索させるなど、いまどきの検索エンジンじゃありえない仕組みだ。
適当にキーワードを入れて「検索」しても検索結果が表示されない。良く見ると、検索件数が表示されているだけ。しかもページの下部にボタンが5つもあってどれをクリックすれば良いか考えないといけない。一覧表示を押せば良いのがわかるまで数十秒。そしてクリックしてみると、今度はタイトルと謎の番号が表示されているだけ。クリックするとフレームのページが表示される。ここまで来るのに一体何クリックさせるつもりなんだ!
次に文面を読んでみると、とにかく日本語とはいえない独特の言葉で書かれているので、内容を理解するのにとても苦労する。比較的「要約」はわかりやすく書いてあるが、本文を読んでも良く分からないものが多い。

技術者が発明をし特許申請をしようと思っても、ここまで辿りつく前に面倒になって止めてしまうケースも多いだろう。また、例え辿りつけたとしても文章の書き方が難しくて読むのが嫌になってしまうのではなかろうか。また、社名や人名においても表記揺れがあるようで、上手くヒットしないケースもあるようだ。「もしかして・・・」何て機能があると良いのだが・・・。

聞いた話だが、国際特許として同時に出願できるのだが、独特の文章の書き方が英語等に翻訳する際に問題になっているようで、一部では表現を現代の文章に変更していこうと言った動きもあるようだ。

日本がモノづくり大国から知財大国へとシフトしていくのであれば、特許の情報がこれほど検索しづらく、しかも難しい文面で書かれていると、特許件数が増えるはずはない。一方で、自分の発明が第三者の特許を侵害しているかどうかを調べる際に、検索スキルのよって結果が大きく異なるようでは無駄な特許係争は減らない。特許係争にかかる費用もさることながら、かかる時間の方が無駄だ。

現在、事業仕分けが行われているが、この電子図書館(IPDL)にしっかりと予算を付けてGoogleのように簡単に検索できるように改修して欲しいものだ。現代においては難しさよりも使いやすさを重要視し、ネットを使いこなせる国民の全てが、考える国民となることで、日本が知財立国としての地位を確立させるべきではなかろうか。

実は特許庁電子図書館(IPDL)よりも、独立行政法人科学技術振興機構(JST)のJ-GLOBALというサイトの方が特許の検索がしやすかったりする。

■J-GLOBAL http://jglobal.jst.go.jp/?d=0