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クラウドIT顧問 山崎ジョー吉のブログです。

金蔵オープンビレッジ -里山を未来へつなぐワークショップ- に参加してきた

6月25日〜26日、石川県の輪島市の棚田が美しい金蔵(かなくら)の「正願寺」で開催された、金蔵オープンビレッジ -里山を未来へつなぐワークショップ-に百万石ワールドカフェのスタッフとしてテーブルファシリテーターとして参加してきた。

金蔵とは、現在は86戸にすぎない限界集落で、過疎・高齢化による棚田荒廃や空き家増加ながらも、8月のお盆に金蔵万燈会(かなくらまんとうえ)という3万本にもおよぶロウソクを灯し祖先を偲んだり、オープンカフェ木の音、ゲストハウスNPO法人金蔵学校など、里山を守るための様々な活動を行い、全国からも注目されている集落。

さらに、[「能登里山里海」の国内初「世界農業遺産(GIAHS)」認定について:title=6月11日に「能登里山里海」が国内初「世界農業遺産(GIAHS)」に認定された]ことで、さらに注目を集めている中での、金蔵オープンビレッジの開催となった。

前日までの夏日から一変し、朝から雨の中、バスで現地に向かった。道中、きときとファシリテーターである「トッシー」のファシリテーションのレクチャーを受けながら、2時間ほどで現地入り。

86戸しかない集落にお寺が5軒もあるそうで、中でも一番大きなお寺である「正願寺」が今回のワークショップの会場。

東京、名古屋など遠方からの参加者と地元住人を含む、総勢60名での2日間のワークショップ。

まずはじめに、地元の区長が金蔵地区の高齢化の実態などを説明し、「集落を保全し元気づけるにはどうしたらよいか、お知恵を参考にさせていただきたい」などとあいさつ。都市部から山間の集落を訪問するツアーを企画したり、里山を体感するサイクリングを催したりするなどの事例発表の後、金蔵を活性化させるためのグループワークが行われた。

地元住民を囲んで、金蔵の実態や課題などを聞く、質問会議を行い、次にその課題を解決するためのディスカッションがグループごとに行われた。NPOなどで活動をしている人が多く参加されていたので、より具体的な意見が交わされた。途中からアルコールが入ると、さらに話が盛り上がり、気がつくと時間は夜中の3時。実は韓国の焼酎を飲み過ぎて翌日二日酔いだったので、二日目は無口なファシリテータだったりしたのだが(笑)

2日目の午前中も引き続きグループでの話し合いが行われ、午後から各グループからの発表。能登の貴重な生態系や文化を地域おこしにつなげる様々なアイデアが発表された。


私のグループのテーマは交流活動(ツーリズム)。1日目に行った、地元の方へのヒアリングでは、毎年開催されている「金蔵万燈会」は町全体が一つとなる唯一の機会でとても、重要な取り組みだが、3万本のロウソクの手配や、それに関連する準備など、ボランティアの助けを借りていても、3千人の来場者は町の許容範囲を超えていて、食事やお土産の販売、宿泊などといった経済活動が行われていないというのが実態。

したがって、「金蔵万燈会」での交流人口を増やしたとしても、変動費が増加するだけで、損益分岐点を上回るのは現状困難であることから、「金蔵万燈会」というイベント以外での交流活動について検討を進めた。

その結果生まれたアイディアは、世界農業遺産を町の人達、全国の人達に理解してもらうために、「世界農業遺産検定」を行うというもの。

次は、「世界農業遺産検定」に認定されたものの、里海・里山を維持していくのは、地元住民の力だけでは困難。とはいっても、市や県がお金を出したとしても人出不足である以上、現実的な解とは言いがたい。そこで、ボランティア活動を支援するための施策を提案。具体的には、県民にある一定時間のボランティアを義務付け、認定されたボランティア活動をすれば、県民税を減税するというもの。金銭面ではなく行動で「里海・里山」を守ろうというもの。

そして、もう一つは、特産品や自然などの地域といったモノをアピールし、金蔵に来てもらうのではなく、金蔵に住んでいる人たちが、金蔵での生活を情報発信することで、金蔵以外の場所で興味をもってもらい、コメなどの特産品を買ってもらうというもの。(例えば)テーマは「断食道場」。お寺に宿泊し、断食をする。断食中は町の草むしりなどボランティア活動を行う。断食後は町の自然な野菜を食べることでデトックスできる。

発表に使用したスライドはここ(Prezi)

今回、金蔵オープンビレッジでボランティアスタッフの一員として、お手伝いをするに際し、やや不安はあったが、専門性の高い参加者が大勢いた事や、前向きな考えの人が多く、とても楽しいワークショプとなった。また、「世界農業遺産(GIAHS)」についても、詳しく知ることができるなど、様々な情報をインプットすることができた。

今後、都市部の街に戻ってからは、何らかの形でアウトプットをし、金蔵などの里海・里山を維持するための活動を続けていきたいと思う。

金蔵の住民のみなさんありがとう。スタッフのみなさんありがとう。そして、参加してくれたみなさんありがとう。

地元の食材で作った夕食

朝日新聞の記事

ブログ
限界集落★金蔵 金蔵オープンビレッジ終了
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